会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書
「官民ファンドにおける業務運営の状況について」
平
成
3
0
年
4
月
政府は、平成25年1月に、長引く円高・デフレ不況から脱却して日本経済を大胆に再生さ せるために「日本経済再生に向けた緊急経済対策」を閣議決定した。これを背景として、 多くの官民ファンドが創設等される中で、政府は、25年9月に、「官民ファンドの活用推進 に関する関係閣僚会議」を設け、当該関係閣僚会議の下に、内閣官房副長官を議長として、 関係府省庁を構成員とする「官民ファンドの活用推進に関する関係閣僚会議幹事会」を置 いて、「官民ファンドの運営に係るガイドライン」に基づいた官民ファンドの運営状況の 定期的な検証を所管府省庁等が一体となって行うこととした。
官民ファンドを運営する法人は、設立や支援の根拠となる法律等に定められた政策目的 に沿った出資等の支援を行うこととなっており、官民ファンドの業務運営に関して官民フ ァンドを運営する法人に対して行われた政府出資等の額は多額に上っている。そして、官 民ファンドを運営する法人が行う支援に失敗が多数発生して損失が生じていないか、政策 目的に沿った支援が行われているかなどについて国民の関心が高くなっている。
本報告書は、以上のような状況を踏まえて、官民ファンドを運営する法人に対する国の 財政支援、官民ファンドを運営する法人が行う支援、官民ファンドを運営する法人におけ る案件発掘、支援の決定、モニタリング等の支援業務、官民ファンドを運営する法人の財 務等の状況について、横断的に検査を行い、その状況を取りまとめたことから、会計検査 院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参 議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。
目
次
1 検査の背景・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
(1) 官民ファンドの創設等の経緯・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
(2) 官民ファンド運営法人の概要等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
(3) 官民ファンド運営法人による支援業務の概要・・・・・・・・・・・・・・・ 5
ア 支援業務の流れ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
イ 支援スキーム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
(4) KPIによる政策目的の達成状況等の評価の概要・・・・・・・・・・・・・ 7
(5) 官民ファンド運営法人の財務諸表等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
2 検査の観点、着眼点、対象及び方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
(1) 検査の観点及び着眼点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
(2) 検査の対象及び方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
3 検査の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
(1) 国の財政支援及び官民ファンド運営法人による支援の実施状況・・・・・・・ 9
ア 国の財政支援の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
イ 官民ファンド運営法人が実施する支援の状況・・・・・・・・・・・・・・16
ウ KPIによる政策目的の達成状況等の評価の状況等・・・・・・・・・・・35
エ 官民イノベーションプログラムにおける政府出資金等の状況・・・・・・・44
オ 国の監督等の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50
(2) 案件発掘、支援決定、モニタリング等の支援業務の実施状況・・・・・・・・53
ア 支援基準等における政策目的等に関する基準及びリスク回避の取組・・・・53
イ 支援業務の実施体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59
ウ 支援決定に至るまでの支援業務に係る実施状況・・・・・・・・・・・・・60
エ 支援決定の実施状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・63
オ モニタリングの実施状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・68
(3) 財務等の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72
ア 官民ファンド運営法人の財務諸表等・・・・・・・・・・・・・・・・・・72
イ 官民ファンドの業務に係る財務の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・77
ウ 支援案件の損益等の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・91
エ 28年度末に支援継続中の出資案件の状況・・・・・・・・・・・・・・・ 103
カ 支援に係る情報開示の状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 111
4 所見・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 113
(1) 検査の状況の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 113
(2) 所見・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 122
別表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 127
・本文及び図表中の数値は、表示単位未満を切り捨てているため、図表中の数値を集計
しても計が一致しないものがある。
事
例
一
覧
[出資等の実績がないまま解散したサブファンド]
<事例1>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26
[モニタリングが十分に行われていなかったもの]
官民ファンドにおける業務運営の状況について
検 査 対 象 官民ファンド運営法人16法人
官民ファンドの 国からの出資、貸付け又は補助金の交付を受けた株式会社等
概要
の法人が、企業等に対する出資、貸付け、債務保証、債権の
買取り等を行い、政府の成長戦略の実現等の政策的意義があ
るものに限定して、民業補完を原則とし、民間で取ることが
難しいリスクを取ることによって民間投資を活発化させて、
民間主導の経済成長を実現することを目的とするファンド
官民ファンド運 7812億円(平成28年度末)
営法人に対する 官民ファンドの 業務運営に関す る政府出資等の 額
1 検査の背景
(1) 官民ファンドの創設等の経緯
政府は、平成25年1月に、「我が国の経済は、円高・デフレ不況が長引き、名目GD
Pは3年前の水準とほぼ同程度にとどまっている」などとし、こうした状況から脱却し
て日本経済を大胆に再生させなければならないとして「日本経済再生に向けた緊急経
済対策」を閣議決定した。同対策では、成長による富の創出、暮らしの安心・地域活
性化等を重点分野として、「民間投資の喚起による成長力強化」「中小企業・小規模
事業者・農林水産業対策」「日本企業の海外展開支援等」「地域の特色を生かした地
域活性化」等の項目において、民間投資を喚起し持続的成長を生み出す成長戦略の実
現を図るための各種施策が盛り込まれた。
上記の対策を背景として、24年度から27年度までにかけて、株式会社地域経済活性
化支援機構法(平成21年法律第63号。25年3月17日以前は株式会社企業再生支援機構
法)、株式会社海外需要開拓支援機構法(平成25年法律第51号)、国立大学法人法
(平成15年法律第112号)、産業競争力強化法(平成25年法律第98号。以下「強化法」
という。)、国立研究開発法人科学技術振興機構法(平成14年法律第158号。27年3月
援機構法(平成26年法律第24号)、株式会社日本政策投資銀行法(平成19年法律第8
5号)、株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構法(平成27年法律第35号)等が相
次いで制定され、又は改正された。そして、これらの法律に基づくなどして、国から
の出資、貸付け又は補助金の交付(以下、これらを合わせて「政府出資等」とい
う。)を受けた株式会社等の法人が、企業等に対する出資、貸付け、債務保証、債権
の買取り等(以下、これらを合わせて「支援」という。)を行い、政府の成長戦略の
実現等の政策的意義があるものに限定して、民業補完を原則とし、民間で取ることが
難しいリスクを取ることによって民間投資を活発化させて、民間主導の経済成長を実
現することを目的とするファンドが新たに創設されるなどした(以下、当該ファンド
を「官民ファンド」といい、官民ファンドを運営する法人を「官民ファンド運営法
人」という。)。
官民ファンドは、各官民ファンド運営法人の所管府省庁が監督等を行っていくこと
が原則であるが、多くの官民ファンドが創設されるなどする中で、官民ファンドが日
本経済の成長のために政策目的に沿って運営されるよう活動を評価し、検証して、所
要の措置を講じていくことが必要であるとの観点から、25年5月から8月までにかけて、
官民ファンドの運営状況のいわゆる横串チェックを行うなどのために、所管府省庁等
の関係府省庁と有識者から成る「官民ファンド総括アドバイザリー委員会」が開催さ
れ、官民ファンドの運営上の課題について、「官民ファンドの運営に係るガイドライ
ン」(以下「ガイドライン」という。)が取りまとめられた。そして、官民ファンド
の活用推進を図る観点から、政府は、25年9月に、「官民ファンドの活用推進に関する
関係閣僚会議」(以下「関係閣僚会議」という。)を設けて、ガイドラインを関係閣
僚会議決定とした。ガイドラインは、「運営全般(政策目的、民業補完等)」「投資
の態勢及び決定過程」等の項目から構成されており、官民ファンド運営法人が官民フ
ァンドを適切に運営していくことなどが求められている。そして、関係閣僚会議の下
に、内閣官房副長官を議長として、関係府省庁を構成員とする「官民ファンドの活用
推進に関する関係閣僚会議幹事会」(以下「幹事会」という。)を置いて、ガイドラ
インに基づいた官民ファンドの運営状況の定期的な検証を関係府省庁が一体となって
行うこととした。
28年度末現在、16の官民ファンド運営法人が運営する14官民ファンドが関係閣僚会
図表0-1 関係閣僚会議及び幹事会による検証対象の官民ファンド
注(1) 官民フ ァンド運 営法人の名 称が官 民ファン ド名とな ってい る。
注(2) 株式会 社地域経 済活性化支 援機構 の前身で ある株式 会社企 業再生支援 機構の設 置年度 である。 注(3) 株式会 社地域経 済活性化支 援機構 の所管府 省庁は、 内閣府 (内閣府本 府)、金 融庁、 総務省、 財務
省、厚 生労働省 及び経 済産業省 である。
注(4) 独立行 政法人中 小企業基盤 整備機 構の前身 である中 小企業 事業団にお ける官民 ファン ドの事業 開始 年度で ある。
注(5) 国立研 究開発法 人科学技術 振興機 構の前身 である独 立行政 法人科学技 術振興機 構にお ける官民 ファ ンドの 事業開始 年度で ある。
注(6) 各国立 大学法人 が出資する 投資事 業有限責 任組合( 6ページ 参照)が 設立され た年度で ある。 注(7) 各国立 大学法人 が100%出 資する子 会社が 投資事業 有限責任 組合(6ペ ージ参照 )を組 成するな どし
て官民 ファンド に関す る業務を 行ってい る。
幹事会は、25年12月に第1回が開催された後、半年に1回の頻度で28年度末までに計
7回開催されており、関係府省庁が幹事会で検証した事項は、「官民ファンドの運営に
係るガイドラインによる検証報告」(以下「検証報告」という。)として取りまとめ
られ、公表されている。
(2) 官民ファンド運営法人の概要等
官民ファンド運営法人には、①株式会社、②独立行政法人、③国立大学法人及び④
一般社団法人の四つの組織形態があり、図表0-1の官民ファンド運営法人16法人を組織
形態別に示すと、図表0-2のとおり、①株式会社が8法人、②独立行政法人が2法人、③
国立大学法人が4法人及び④一般社団法人が2法人となる。
検証対象の官民ファンド 創設年度 所管府省庁 官民ファンド運営法人
株式会社産業革新機構 注( 1) 平成21年度 経済産業省 株式会社産業革新機構
株式会社地域経済活性化支援機構 注( 1) 21年度 注( 2) 内閣府等 注( 3) 株式会社地域経済活性化支援機構
株式会社農林漁業成長産業化支援機構 注( 1) 24年度 農林水産省 株式会社農林漁業成長産業化支援機構
株式会社民間資金等活用事業推進機構 注( 1) 25年度 内閣府 株式会社民間資金等活用事業推進機構
株式会社海外需要開拓支援機構 注( 1) 25年度 経済産業省 株式会社海外需要開拓支援機構
株式会社海外交通・都市開発事業支援機構 注( 1) 26年度 国土交通省 株式会社海外交通・都市開発事業支援機構
株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構 注( 1) 27年度 総務省 株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構
競争力強化ファンド 24年度
特定投資業務 27年度
独立行政法人中小企業基盤整備機構 注( 1) 10年度 注( 4) 経済産業省 独立行政法人中小企業基盤整備機構 国立研究開発法人科学技術振興機構 注( 1) 26年度 注( 5) 文部科学省 国立研究開発法人科学技術振興機構
27年度 注( 6) 文部科学省 国立大学法人東北大学 注( 7) 28年度 注( 6) 文部科学省 国立大学法人東京大学 注( 7) 27年度 注( 6) 文部科学省 国立大学法人京都大学 注( 7) 27年度 注( 6) 文部科学省 国立大学法人大阪大学 注( 7)
国土交通省 環境省
地域低炭素投資促進ファンド事業 25年度 環境省 一般社団法人グ リーンファイナ ンス推進機構
計14官民ファンド - - 計16法人
株式会社日本政策投資銀行 財務省
官民イノベーションプログ ラム
図表0-2 官民ファンド運営法人の組織形態別分類
(注) 官民 ファン ド運営法人 と官民フ ァンドと で名称 が異なる 場合は左 側に官民 ファンド 運営法人 名、 右側に 官民フ ァンド名を 記載して いる( 以下の図 表におい て同じ。 )。
①株式会社及び②独立行政法人は、設立や支援の根拠となる法律(以下「設置根拠
法」という。)等に基づき支援を行うこととなっている。③国立大学法人は、100%出
資の子会社を設立して、これを実際に支援を行う組織とし、強化法に基づく特定研究
成果活用支援事業に関する計画(以下「特定研究成果活用支援事業計画」という。)
の認定を受け、これに従って支援を行うこととなっている(強化法に基づく認定につ
いては、3(1)エ(ア)a官民イノベーションプログラムの概要を参照)。④一般社団法人
は、それぞれ公募により選定されて国庫補助金により基金を造成した法人であり、国
庫補助金の交付要綱(以下「交付要綱」という。)等に基づき支援を行うこととなっ
ている(以下、株式会社である8法人を「政府出資株式会社8法人」といい、独立行政
法人である2法人を「独立行政法人2法人」といい、国立大学法人である4法人を「国立
大学法人4法人」といい、一般社団法人である2法人を「基金設置法人2法人」とい
う。)。
組織形態別 番号 設立や支援の根拠とな る法律等
1 強化法
2 株式会社地域経済活性化支援機構法
3
株式会社農林漁業成長産業化支援機構法 ( 平成 2 4 年法律第8 3 号)
4
民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促 進に関する法律( 平成1 1 年法律第1 1 7 号)
5 株式会社海外需要開拓支援機構法
6 株式会社海外交通・ 都市開発事業支援機構法
7 株式会社海外通信・ 放送・ 郵便事業支援機構法
競争力強化ファンド
特定投資業務
② 独立行政法人 ( 2 法人)
9
独立行政法人中小企業基盤整備機構法 ( 平成1 4 年法律第1 4 7 号)
強化法
1 0
国立研究開発法人科学技術振興機構法
研究開発シ ステ ムの改革の推進等による研究開発能 力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する 法律( 平成2 0 年法律第6 3 号)
1 1 国立大学法人東北大学 1 2 国立大学法人東京大学 1 3 国立大学法人京都大学 1 4 国立大学法人大阪大学
1 5
一般社団法人環境不動 産普及促進機構
耐震・ 環境不動産形成 促進事業
耐震・ 環境不動産形成対策費補助金交付要綱( 平 成2 5 年国土動整第2 6 号)
平成2 4年度地球温暖化対策推進事業費国庫補助 金交付要綱( 平成2 5 年環政経発第1 3 0 3 0 8 4 号等)
1 6
一般社団法人グリーン ファイナンス 推進機構
地域低炭素投資促進 ファンド事業
地域低炭素投資促進ファンド事業費補助金( 地域低 炭素化出資事業基金) 交付要綱( 平成2 5 年環政経 発第1 30 6 0 5 2 号)
官民ファンド運営法人等(注)
株式会社海外交通・ 都市開発事業支援機構
株式会社海外通信・ 放送・ 郵便事業支援機構 株式会社産業革新機構
株式会社地域経済活性化支援機構
株式会社農林漁業成長産業化支援機構
株式会社民間資金等活用事業推進機構
株式会社海外需要開拓支援機構 ① 株式会社
( 8 法人)
④ 一般社団法人 ( 2 法人) ③ 国立大学法人 ( 4 法人)
株式会社日本政策投資銀行法
独立行政法人中小企業基盤整備機構
国立研究開発法人科学技術振興機構
官民イノベーションプロ グラム
国立大学法人法 強化法 株式会社日本政策投資
官民ファンド運営法人は、これらの設置根拠法等に定められたそれぞれの政策目的
に沿って支援を行うこととなっている。そして、支援の適正な実施を確保するなどの
ために、各官民ファンド運営法人の所管府省庁は、設置根拠法等に基づき官民ファン
ド運営法人の監督等を行うこととなっている。
また、官民ファンド運営法人16法人のうち、政府出資株式会社8法人から株式会社日
本政策投資銀行を除いた7法人は官民ファンドの業務を主な業務としており、それ以外
の9法人は業務の一部として官民ファンドの業務を行っている(以下、官民ファンドの
業務を主な業務としている法人を「ファンド専業法人」、それ以外の法人を「兼業法
人」という。)。
(3) 官民ファンド運営法人による支援業務の概要
ア 支援業務の流れ
官民ファンド運営法人が実施する支援に係る業務(以下「支援業務」という。)
の流れは、おおむね図表0-3のとおりであり、①支援の候補となる企業等を探索する
案件発掘、②事業の価値の評価及び当該企業等の財務、法務等に関するリスク、問
題点等に関する詳細な調査(以下、これらの評価及び調査を「デューデリジェン
ス」という。)、③企業等に対する支援の決定(以下「支援決定」という。)、④
支援の実行、⑤財務情報、経営方針等の企業情報の把握や経営成績の評価(以下、
これらの把握及び評価を「モニタリング」という。)及び⑥支援の終了(EXIT
とも呼ばれる。)というプロセスで実施される。
図表0-3 支援業務の流れ
①案件発掘は、官民ファンド運営法人が主体的に企業等に接触したり、支援を受
けようとする企業等から申込みを受けたりすることにより行うものであり、支援の
候補となった企業等に対しては、官民ファンド運営法人が②デューデリジェンスを
実施する。そして、官民ファンド運営法人に設置されている最終的な支援決定を行
う機関(以下「支援決定機関」という。)が、主務大臣等が定めた支援等において
従うべき基準(以下「支援基準等」という。)に沿って審査を行って、③支援決定
を行う。
その後、官民ファンド運営法人は、支援決定に基づき、企業等との契約で支援の
①案件発掘 ②デューデリジェンス ③支援決定 ④支援の実行
⑤モニタリング
上限として約束額(以下「支援約束額」という。)を設定して、契約で定めた条件
を満たすなどした時点で出資金を払い込むことなどにより実際に④支援を実行(以
下、出資金の払込みなどによる実際の支援を「実支援」といい、その額を「実支援
額」という。)するとともに、企業等から財務書類を定期的に提出させるなどして
⑤モニタリングを継続的に行い、必要に応じて、業務改善に関する助言、取引先や
金融機関の紹介、専門家の派遣等を行う。そして、最終的に支援した企業の株式を
売却することなどにより支援のために拠出した出資金等を回収し、⑥支援を終了す
ることになる。
ガイドラインで設定されている支援業務の流れに関する主な検証項目は、次のと
おりである。
(ア) 案件発掘及びデューデリジェンスを行う主体は、十分な能力を保有しているか。
(イ) 支援決定機関の役割が明確化され、適切に開催され、機能しているか。
(ウ) 支援決定機関は、政策目的に基づいた支援の基本的な方針等に従って検討をし
ているか。また、適切な手続による審査を経て中立的な立場から決定しているか。
(エ) 官民ファンド運営法人は、企業等の財務情報や経営方針等の企業情報を継続的
に把握するなど適切にモニタリングを行っているか。
イ 支援スキーム
官民ファンド運営法人が行う支援に係るスキーム(以下「支援スキーム」とい
う。)には、①官民ファンド運営法人が支援の対象となる事業を実施する者(以下
「対象事業者」という。)に対して支援を行うもの(以下「直接支援」という。)
と②官民ファンド運営法人が他の民間事業者等と共に出資して設立した投資事業有
限責任組合(以下「サブファンド」という。)を通じて対象事業者に対して支援 (注1)
を行うもの(以下「間接支援」という。)とがある(図表0-4参照)。
また、間接支援におけるサブファンドに対する出資の形態には、有限責任
組合員(Limited Partner。以下「LP」という。)としての出資(以下「LP出
(注2)
資」という。)及び無限責任組合員(General Partner。以下「GP」という。)
(注3)
としての出資(以下「GP出資」という。)がある。
なお、国立大学法人4法人の③官民イノベーションプログラムの場合は、国立大学
法人がLPとなり、国立大学法人の子会社がGPとなっているサブファンド(以下
「3 検査の状況」においては、原則として、国立大学法人4法人の支援スキームに
ついて、国大ファンドを官民ファンド運営法人とみなして、国大ファンドが対象事
業者に対して支援を行うものを直接支援に分類し、国大ファンドがサブファンドを
通じて対象事業者に対して支援を行うものを間接支援に分類している(図表0-4参
照)。
(注1) 投資事業有限責任組合 「投資事業有限責任組合契約に関する法
律」(平成10年法律第90号)に基づき投資事業有限責任組合契約 を締結することによって成立する有限責任組合員及び無限責任組 合員から成る組合
(注2) 有限責任組合員 その出資の価額を限度として投資事業有限責任組
合の債務を弁済する責任を負う組合員
(注3) 無限責任組合員 投資事業有限責任組合の業務を執行して当該組合
の債務全額について責任を負う組合員
図表0-4 支援スキームの概念図
①直接 支援 ②間接 支援 ③官 民イノベー ション プログラ ム
の 場合の直接 支援及 び間接支 援
(4) KPIによる政策目的の達成状況等の評価の概要
官民ファンド運営法人は、支援を行うことによる政策目的の達成状況、民業補完の
状況、支援における収益性の確保の状況等を評価するための重要な指標(Key Perfo
rmance Indicator。以下「KPI」という。)を原則として自ら設定し、KPIを用
いて政策目的の達成状況等を評価している。KPIには、個別案件ごとに達成状況を
評価するための個別案件のKPIと、法人全体として評価を行うための法人全体のK
PIがあり、ガイドラインによると、個別案件のKPI及び法人全体のKPIを共に
設定して、評価を行うとともに、法人全体のKPIについては、評価結果を公表する
こととなっている。
(5) 官民ファンド運営法人の財務諸表等
官民ファンド運営法人は、財務等の状況について、組織形態に応じて適用される法
官民ファンド運営法人
対象事業者
官民ファンド運営法人
サブファンド
対象事業者
直
接
支
援
LP出資 100%出資
GP出資 国立大学法人
子会社
国大ファンド
サブファンド
対象事業者
間
接
支
令等に基づき、財務諸表又は計算書類(以下、これらを合わせて「財務諸表等」とい
う。)を作成し、監査役等による監査等を経て開示している。
また、官民ファンド運営法人の情報開示について、ガイドラインにおいては、支援
決定時における適切な情報開示に加えて、実支援後においても、適切な評価や情報開
示を継続的に行い、国民に対しての説明責任を果たしているかといった検証項目が設
けられている。
2 検査の観点、着眼点、対象及び方法
(1) 検査の観点及び着眼点
官民ファンド運営法人は、設置根拠法、交付要綱等に定められた政策目的に沿った
支援を行うこととなっており、官民ファンドの業務運営に関して官民ファンド運営法
人16法人に対して行われた政府出資等の額は多額に上っている。そして、官民ファン
ド運営法人が行う支援に失敗が多数発生して損失が生じていないか、政策目的に沿っ
た支援が行われているかなどについて国民の関心が高くなっている。
そこで、会計検査院は、官民ファンドにおける業務運営の状況について、合規性、
経済性、効率性、有効性等の観点から、次の点に着眼して検査した。
ア 官民ファンド運営法人に対する官民ファンドの業務運営に関する国の財政支援の
状況、官民ファンド運営法人による支援の実施状況はどのようになっているか。
イ 官民ファンド運営法人の案件発掘、支援決定、モニタリング等の支援業務の実施
状況はどのようになっているか。
ウ 官民ファンド運営法人における官民ファンドの業務に係る財務等の状況はどのよ
うになっているか。
(2) 検査の対象及び方法
関係閣僚会議及び幹事会による検証の対象となっている官民ファンド運営法人16法
人が運営する14官民ファンドを検査の対象として、計算証明規則(昭和27年会計検査
院規則第3号)に基づき提出された財務諸表等のほか、官民ファンド運営法人に支援の
実施状況等に係る調書等の提出を求めて、これらを分析するとともに、9関係府省、 (注4)
官民ファンド運営法人16法人、当該法人から出資を受けて支援業務を行うなどしてい
る国立大学法人4法人の子会社等の6法人、4国大ファンド及び14サブファンドにおい
(注5) (注6) (注7)
て会計実地検査を行った。
(注4) 9関係府省 内閣官房、内閣府本府、総務省、財務省、文部科学省、農
(注5) 6法人 ブルーパートナーズ株式会社、東北大学ベンチャーパートナー ズ株式会社、東京大学協創プラットフォーム開発株式会社、京都大 学イノベーションキャピタル株式会社、大阪大学ベンチャーキャピ タル株式会社、三沢くらしのさと株式会社
(注6) 4国大ファンド THVP-1号投資事業有限責任組合、協創プラットフォー
ム開発1号投資事業有限責任組合、イノベーション京都2016投資事業 有限責任組合、OUVC1号投資事業有限責任組合
(注7) 14サブファンド ブルーパートナーズ第一号投資事業有限責任組合、
しぎん6次産業化応援ファンド投資事業有限責任組合、かごしまアグ リクラスター6次産業化投資事業有限責任組合、福銀6次産業化投資 事業有限責任組合、先端技術産業創造投資事業有限責任組合、イン スパイア・テクノロジー・イノベーション・ファンド投資事業有限 責任組合、九州事業継続ブリッジ投資事業有限責任組合、ちば新産 業育成投資事業有限責任組合、静岡中小企業支援3号投資事業有限責 任組合、岩手産業復興機構投資事業有限責任組合、ひろしまイノベ ーション推進第2号投資事業有限責任組合、静岡中小企業支援4号投 資事業有限責任組合、OiDEファンド投資事業有限責任組合、かごし ま再生可能エネルギー投資事業有限責任組合
3 検査の状況
(1) 国の財政支援及び官民ファンド運営法人による支援の実施状況
ア 国の財政支援の状況
(ア) 政府出資等の状況
a 出資等の種類別の状況
官民ファンド運営法人に対する官民ファンドの業務運営に関する28年度末の
政府出資等の額は、図表1-1のとおり、合計7812億余円となっており、政府出資
等の額を出資等の種類別にみると、次のとおりとなっている。
出資によるものは、一般会計の計1211億余円及び財政投融資特別会計(投資
勘定)の計5365億余円となっている。なお、株式会社地域経済活性化支援機構
に対する出資は、預金保険機構が国からの出資金を財源として株式会社地域経
済活性化支援機構に出資した額である(以下、国から直接出資を受けている官
民ファンド運営法人に対して国が出資した額と預金保険機構が国からの出資金
を財源として株式会社地域経済活性化支援機構に出資した額を合わせて「政府
出資金」という。)。
国が法人に対して出資することにより取得した株式及び出資による権利は、
国有財産法(昭和23年法律第73号)上の国有財産とされており、国民共有の貴
重な財産であり適切な方法により管理する必要がある。官民ファンドについて
は、一義的には官民ファンド運営法人及び所管府省庁において、政府出資金の
ことを回避するよう政府出資金を適切に管理する必要がある。また、財政投融
資特別会計(投資勘定)の出資は収益が上がるまで長期的に耐えることのでき
る資金であるが、投資先から回収したリターンを再投資する仕組みであること
から、官民ファンド運営法人は、業務期間を通じて、対象事業者へ支援のため
に拠出した出資金等を確実に回収することに加え、官民ファンドの業務運営に
要する経費を上回る収益を確保し、出資者である国に納付することが求められ
ている。
補助金の交付によるものは、一般会計の計300億円及びエネルギー対策特別会
計(エネルギー需給勘定)の計144億余円となっており、これらは、基金設置法
人2法人が支援を行うための基金を造成するために交付されたものであり、基金
設置法人2法人は、交付要綱等に基づき基金事業を実施し、基金事業を完了した
とき又は基金事業の中止若しくは廃止の承認を受けたときは、基金の残余の額
を国庫に返納しなければならないこととなっている。
貸付けによるものは、財政投融資特別会計(投資勘定)の計790億円となって
おり、借用証書に基づき、国が将来回収することとなっている。
また、政府出資等のほかにファンド専業法人である株式会社産業革新機構等
7法人は民間からの出資(以下「民間出資」という。)を受けており、28年度末
の額は計551億余円となっている。このほか、株式会社日本政策投資銀行は競争
力強化ファンドに500億円、特定投資業務に1150億円をそれぞれ自己資金から繰
図表1-1 官民ファンドの業務運営に関する政府出資等の額(平成28年度末)
注(1) 株式会社地域経済活性化支援機構に対する政府出資等の額は、預金保険機構が国からの出
資金を財源にして株式会社地域経済活性化支援機構に出資した額である。また、民間出資等 の額のうち96億余円は、預金保険機構が民間金融機関からの拠出金を財源にして株式会社地 域経済活性化支援機構に出資した額である。
注(2) 政府出資等の額は、官民ファンドの業務運営に関する政府出資等の額のみを抽出した金額
である。
注(3) 独立行政法人中小企業基盤整備機構は政府出資等157億円のほかに自己資金を用いて支援
を行っているが、同機構は支援業務に関して区分経理を行うこととなっておらず((3)ア(イ) 参照)、自己資金の額を把握できないため、「-」としている。
b 政府出資金の状況等
前記のとおり、官民ファンド運営法人に対する政府出資等7812億余円のうち、
政府出資金は、一般会計の計1211億余円及び財政投融資特別会計(投資勘定)
の計5365億余円の合計6577億余円であり、政府出資等に占める政府出資金の割
合は84.1%で、政府出資等の多くが出資によるものとなっている。また、これ
( 単位: 百万円) 民間出資等
国の会計区分 出資等の種類 金額
(a)
金額 (b )
金額 (c)= (a)+(b )
政府出資等の 割合 (a)/ (c) 平成2 1 年度
財政投融資特別会計 ( 投資勘定)
出資 2 8 6 ,0 0 0 1 4 ,0 1 0 3 0 0 ,0 1 0 9 5 .3 % 財政投融資特別会計
( 投資勘定)
出資 1 2 ,9 7 0 一般会計 出資 2 ,9 5 5 2 4 年度
財政投融資特別会計 ( 投資勘定)
出資 3 0 ,0 0 0 1 ,9 0 2 3 1 ,9 0 2 9 4 .0 % 2 5 年度
財政投融資特別会計 ( 投資勘定)
出資 1 0 ,0 0 0 1 0 ,0 0 0 2 0 ,0 0 0 5 0 .0 % 2 5 年度
財政投融資特別会計 ( 投資勘定)
出資 5 8 ,6 0 0 1 0 ,7 0 0 6 9 ,3 0 0 8 4 .5 % 2 6 年度
財政投融資特別会計 ( 投資勘定)
出資 1 9 ,0 0 0 5 ,9 4 5 2 4 ,9 4 5 7 6 .1 % 2 7 年度
財政投融資特別会計 ( 投資勘定)
出資 5 ,0 2 2 2 ,3 8 5 7 ,4 0 7 6 7 .8 %
(自己資金)
5 0 ,0 0 0
(自己資金)
1 1 5 ,0 0 0
1 0 年度 一般会計 出資 1 5 ,7 0 0 - 1 5 ,7 0 0 1 0 0 .0 % 2 4 年度 一般会計 出資 2 ,5 0 0 - 2 ,5 0 0 1 0 0 .0 % 国立大学法人東北大学 2 4 年度 一般会計 出資 1 2 ,5 0 0 - 1 2 ,5 0 0 1 0 0 .0 % 国立大学法人東京大学 2 4 年度 一般会計 出資 4 1 ,7 0 0 - 4 1 ,7 0 0 1 0 0 .0 % 国立大学法人京都大学 2 4 年度 一般会計 出資 2 9 ,2 0 0 - 2 9 ,2 0 0 1 0 0 .0 % 国立大学法人大阪大学 2 4 年度 一般会計 出資 1 6 ,6 0 0 - 1 6 ,6 0 0 1 0 0 .0 % 一般社団法人環境不動
産普及促進機構
耐震・ 環境不動産形成 促進事業
2 4 年度 一般会計 補助金の交付 3 0 ,0 0 0 - 3 0 ,0 0 0 1 0 0 .0 % 一般社団法人グリーン
ファイナ ンス 推進機構
地域低炭素投資促進 ファンド事業
2 5 年度
エネルギー対策特別会計 ( エネルギー需給勘定)
補助金の交付 1 4 ,4 6 5 - 1 4 ,4 6 5 1 0 0 .0 % 出資 1 2 1 ,1 5 5
補助金の交付 3 0 ,0 0 0 出資 5 3 6 ,5 9 2 貸付け 7 9 ,0 0 0 エネルギー対策特別会計
( エネルギー需給勘定)
補助金の交付 1 4 ,4 6 5
(民間出資)
5 5 ,1 0 1
(自己資金)
1 6 5 ,0 0 0
合計 7 8 1 ,2 1 2 1 ,0 0 1 ,3 1 4 7 8 .0 % 一般会計
財政投融資特別会計 ( 投資勘定) 国立研究開発法人科学技術振興機構
官民イノベーションプロ グラム
独立行政法人中小企業基盤整備機構
国の会計区分及び出資等の種類別の計 特定投資業務 2 7 年度
財政投融資特別会計 ( 投資勘定)
出資 1 1 5 ,0 0 0 2 3 0 ,0 0 0 5 0 .0 % 貸付け 7 9 ,0 0 0 1 2 9 ,0 0 0 6 1 .2 % 株式会社海外交通・ 都市開発事業支援機構
株式会社海外通信・ 放送・ 郵便事業支援機構 株式会社日本政策投資
銀行
競争力強化ファンド 2 4 年度
財政投融資特別会計 ( 投資勘定) 株式会社農林漁業成長産業化支援機構
株式会社民間資金等活用事業推進機構
2 6 ,0 8 4 6 1 .0 %
株式会社海外需要開拓支援機構 株式会社産業革新機構
株式会社地域経済活性化支援機構 2 1 年度 1 0 ,1 5 9 官民ファンド運営法人等 政府出資等開始年度
政府出資等 合計
注(1 ) 注(1 )
注(1 )
注(2 )
注(2 )
注(2 )
注(2 )
注(2 )
注(2 )
注(2 )
注(2 )
らの出資を受けた官民ファンド運営法人は、全て株式を上場していない。
国が官民ファンド運営法人に対して出資することにより取得した株式及び出
資による権利は、前記のとおり国有財産法上の国有財産とされており、国有財
産台帳に登録されている。国有財産台帳価格については、国有財産法施行令
(昭和23年政令第246号)第23条の規定に基づき、毎会計年度、当該年度末の現
況において、財務大臣の定めるところにより評価し、その評価額により改定し
なければならないこととなっており、その評価額は、「国有財産台帳の価格改
定に関する評価要領について」(平成23年財理第4670号)に基づき、株式上場
を行っていない法人に対して出資することにより取得した株式及び出資による
権利のように市場価格のない出資金については、総資産額から総負債額を減じ
た額に出資割合を乗じた額を評価額とすることとなっている。
官民ファンド運営法人のうち、ファンド専業法人は、官民ファンドの業務を
主な業務としているため、ファンド専業法人に対する政府出資金(株式会社地
域経済活性化支援機構は、国から預金保険機構に対する出資金)の評価額がそ
のまま国有財産台帳価格として登録されている。一方、政府出資金を受けてい
る兼業法人については、官民ファンドの業務以外の業務を含めた法人全体に係
る政府出資金の評価額が国有財産台帳価格として登録されている。
そこで、株式会社地域経済活性化支援機構を除くファンド専業法人の政府出
資金について、24年度末から28年度末までの国有財産台帳価格をみると、図表
1-2のとおりとなっており、政府出資金に対する国有財産台帳価格の割合は、2
8年度末現在までにおいては、株式会社産業革新機構を除く各法人において、全
図表1-2 政府出資金に対する国有財産台帳価格の割合(平成24年度末~28年度末)
(注) 官民ファンド運営法人の設置日前の年度は斜線を引いている。
このように、国から直接出資を受けているファンド専業法人については、そ
の支援の結果や官民ファンドの業務運営に要する経費等に応じた純資産の増減
を通じて、国民共有の貴重な財産である国有財産の価値を増減させることにな
る。
また、政府出資金を受けている兼業法人については、官民ファンドの業務の
みが純資産の増減に影響を与えるものではないが、官民ファンドの業務を含め
た法人全体の業務の結果として純資産の増減に影響を与え、政府出資金の評価
額の増減として、国有財産台帳価格に反映されることになる。
財政投融資特別会計(投資勘定)は、日本電信電話株式会社や日本たばこ産
業株式会社の配当等を財源としており、近年は、政府の成長戦略を受けるなど
して、官民ファンドを通じてリスクが高く民間だけでは十分に資金が供給され
ない事業に対する資金供給を強化している。
そして、同勘定の出資は投資先から回収したリターンを再投資する仕組みで
あり、官民ファンド運営法人において業務期間を通じて、対象事業者へ支援の
ために拠出した出資金等を確実に回収することに加え、官民ファンドの業務運
営に要する経費を上回る収益を確保し、出資者である国に納付することが求め
られるものであり、国においても政府出資金が回収できない事態等が生じない
ように、出資者としての統制を適切に行い、最終的な受益者である国民の中長
期的なリターンの拡大を図る責任を適切に果たす必要がある。このため、出資
( 単位: 百万円)
官民ファ ンド運営法人 国有財産台帳価格等 平成2 4年度末 2 5年度末 26 年度末 2 7 年度末 2 8年度末
政府出資金 2 66 ,0 00 28 6,0 00 2 8 6,00 0 2 86 ,0 0 0 2 86 ,0 00
国有財産台帳価格 2 49 ,6 65 80 6,4 06 8 5 7,25 4 7 01 ,5 4 0 1,0 49 ,5 13
政府出資金に対する国有財産台帳価格の割合 9 3.8% 2 81 .9% 2 99 .7 % 24 5 .2 % 36 6.9%
政府出資金 30 ,0 00 3 0,0 00 3 0,00 0 30 ,0 0 0 30 ,0 00
国有財産台帳価格 29 ,8 87 2 9,2 01 2 8,25 4 27 ,1 5 4 25 ,7 24
政府出資金に対する国有財産台帳価格の割合 9 9.6% 97 .3% 94 .1 % 9 0 .5 % 8 5.7%
政府出資金 1 0,0 00 1 0,00 0 10 ,0 0 0 10 ,0 00
国有財産台帳価格 9,8 77 9,61 3 9 ,4 7 2 9 ,5 05
政府出資金に対する国有財産台帳価格の割合 98 .7% 96 .1 % 9 4 .7 % 9 5.0%
政府出資金 3 0,0 00 3 0,00 0 41 ,6 0 0 58 ,6 00
国有財産台帳価格 2 9,5 57 2 8,49 2 38 ,2 7 1 54 ,7 06
政府出資金に対する国有財産台帳価格の割合 98 .5% 94 .9 % 9 1 .9 % 9 3.3%
政府出資金 5,40 0 15 ,0 0 0 19 ,0 00
国有財産台帳価格 5,25 6 13 ,9 9 1 16 ,9 01
政府出資金に対する国有財産台帳価格の割合 97 .3 % 9 3 .2 % 8 8.9%
政府出資金 1 ,8 7 2 5 ,0 22
国有財産台帳価格 1 ,7 8 0 4 ,5 29
政府出資金に対する国有財産台帳価格の割合 9 5 .1 % 9 0.1%
株式会社海外通信・ 放送・郵便事業支援機構 株式会社海外交通・ 都市開発事業支援機構 株式会社産業革新機構
株式会社農林漁業成長産業化支援機構
株式会社民間資金等活用事業推進機構
者である国において、官民ファンド運営法人における支援内容、実支援後の状
況等を確認することが重要である。同勘定からの政府出資金に係る統制の状況
についてみたところ、次のような取組が行われていた。
同勘定から出資を行うに当たっては、「財政融資資金の長期運用に対する特
別措置に関する法律」(昭和48年法律第7号)第5条の規定に基づき、財政投融
資計画が策定される。財政投融資計画の策定に当たっては、財政制度等審議会
の意見聴取を行いながら、財務省において個々の施策の必要性や重要性、資金
を供給する事業の収益性等について審査が行われている。財政投融資計画は、
特別会計予算の添付書類として国会に提出され、また、財政投融資計画に計上
される同勘定の出資額が予算の一部として国会の審議及び議決を経ることで、
国会による財政統制の下に置かれている。
また、出資後においては、国は、出資者として従前から株式会社に対して議
決権を行使しており、28年度に「政府保有株式に係る株主議決権行使等の方
針」(平成28年5月財務省理財局)が作成されたことにより、同方針の「2.株
主議決権行使等の方針」に基づき、株主総会における議決権行使の結果や株主
総会での発言について公表することとなっている。
さらに、国は、出資者としての統制を確保する一環として、財務省による実
地監査を行うこととしており、26年に株式会社産業革新機構、27年に株式会社
農林漁業成長産業化支援機構及び28年に株式会社海外需要開拓支援機構に対し
て、法令等の遵守及び内部統制に係る実地監査をそれぞれ実施している。
このように、財政投融資特別会計(投資勘定)からの政府出資金について、
官民ファンド運営法人に対して出資を行う前の段階での審査や出資後の出資者
としての議決権の行使等により、政府出資金が回収できない事態等が生ずるこ
とを回避するための取組が行われている。
(イ) 政府出資等以外の財政支援の状況
a 運営費交付金
国は、国立大学法人における研究成果の事業化に向けた産学共同の研究開発
を推進するなどのために、国立大学法人4法人に対して、平成24年度一般会計補
正予算(第1号)により、運営費交付金計200億円を交付している。この運営費
がるような共同研究(以下「事業化推進型共同研究」という。)の実施に必要
な経費等に充当するための財源として交付されたものであり、政府出資金と合
わせて官民イノベーションプログラムの財源の一部となっている(当該運営費
交付金の使用状況等については、エ 官民イノベーションプログラムにおける
政府出資金等の状況を参照)。また、国は、当該運営費交付金とは別に、独立
行政法人2法人及び国立大学法人4法人に対して、各法人の業務に係る費用の財
源に充てるために運営費交付金を交付しており、そのうちの一部が官民ファン
ドの業務に充当されている。
b 政府保証
国は、一部の官民ファンド運営法人が金融市場で発行する債券や借入金に政
府保証を付して、支援に必要な資金を円滑かつ有利に調達できるようにしてい
る。
官民ファンド運営法人に対する官民ファンドの業務運営に関する28年度の政
府保証の状況をみると、図表1-3のとおりとなっており、政府保証の限度額が2
8年度の国の一般会計予算に定められていた官民ファンド運営法人は7法人とな
っている。そして、これらのうち、実際に政府保証を付した借入等を行った法
人は株式会社産業革新機構及び株式会社民間資金等活用事業推進機構の2法人と
なっており、これらの2法人は、政府保証を付した借入等を財源として、大型案
件等への支援を行っている。
図表1-3 官民ファンド運営法人に対する官民ファンドの業務運営に関する平成28年度の政
府保証の状況
(注) 限度額は平成28年度一般会計補正予算(第2号)成立後の限度額を、調達額は平成28年度に政
府保証を付した借入等を行った額を、累計調達額は設立から28年度末までに政府保証を付した 借入等を行った累計額を、政府保証借入等残高は政府保証を付した借入等の28年度末の残高を それぞれ計上している。
(単位:百万円)
限度額 調達額 累計調達額
政府保証借入等 残高
株式会社産業革新機構 1 ,8 0 0 ,0 0 0 3 7 9 ,8 0 0 1 ,6 2 3 ,4 0 0 3 7 9 ,8 0 0 株式会社地域経済活性化支援機構 1 ,0 0 0 ,0 0 0 - - -株式会社農林漁業成長産業化支援機構 2 3 ,6 0 0 - - -株式会社民間資金等活用事業推進機構 1 1 3 ,8 0 0 5 ,0 0 0 2 0 ,0 0 0 2 0 ,0 0 0
株式会社海外需要開拓支援機構 3 5 ,0 0 0 - -
-株式会社海外交通・ 都市開発事業支援機構 7 1 ,0 0 0 - - -株式会社海外通信・ 放送・ 郵便事業支援機構 4 5 ,7 0 0 - - -計 3 ,0 8 9 ,1 0 0 3 8 4 ,8 0 0 1 ,6 4 3 ,4 0 0 3 9 9 ,8 0 0 官民ファンド運営法人
イ 官民ファンド運営法人が実施する支援の状況
官民ファンドは、支援基準等において定められた対象事業者に対して支援を行う
ことにより、政策目的の実現を図ることとなっている。そして、官民ファンドの中
には、それぞれの設置根拠法において、保有する全ての株式等の処分を行い、支援
を終了するよう努めなければならない時期(以下「支援の終了時期」という。)が
定められている法人がある。さらに、政府出資等が多額に上っていることを踏まえ
て、支援を行うなどした結果、不要となった政府出資等が発生した場合等には、適
切に国庫に納付することが求められる。
官民ファンド運営法人が実施する支援の状況についてみると、次のとおりとなっ
ている。
(ア) 官民ファンドの政策目的及び支援の終了時期等の状況
官民ファンド運営法人は、それぞれの設置根拠法等において政策目的が定めら
れている。
また、ファンド専業法人は、その存続に期限を設けて、個別の投資案件を民間
に適切に引き渡すことが一般的であることから、株式会社海外交通・都市開発事
業支援機構を除いて、設置根拠法において支援の終了時期が定められており、そ
れぞれの設置根拠法の見直しの時期も定められている。なお、株式会社海外交通
・都市開発事業支援機構は、支援対象となる海外インフラ事業が超長期にわたる
プロジェクトであるため、あらかじめ具体的な支援の終了時期を明記することは
適切でないとして具体的な支援の終了時期を定めていないが、設置根拠法におい
て、5年ごとに検討を加えて、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとなっ
ている。
一方、兼業法人についてみると、株式会社日本政策投資銀行の競争力強化ファ
ンドについては設置根拠法等に支援の終了時期及び見直しの時期は定められてい
ないが、34年度末までに支援を終了する予定としており、特定投資業務について
は、設置根拠法に支援の終了時期及び見直しの時期が定められている。独立行政
法人2法人及び国立大学法人4法人については支援の終了時期は定められていない
が、独立行政法人2法人は独立行政法人通則法(平成11年法律第103号。以下「独
法通則法」という。)に基づき5年ごとに、国立大学法人4法人は国立大学法人法
る。基金設置法人2法人については支援の終了時期は定められていないが、それぞ
れの交付要綱に基づき、一般社団法人環境不動産普及促進機構は交付要綱施行後
10年以内に、一般社団法人グリーンファイナンス推進機構は基金造成後10年以内
に、事業の内容について検討を加えることとなっている(図表1-4参照)。
図表1-4 官民ファンドの政策目的及び支援の終了時期等
注(1) 政府は、株式会社産業革新機構の支援の終了時期を平成37年3月31日から46年3月31日に改め
るなどする強化法の改正案及び株式会社地域経済活性化支援機構の支援の終了時期を35年3月 31日から38年3月31日に改めるなどする株式会社地域経済活性化支援機構法の改正案を、30年 3月22日現在において、第196回国会(常会)に提出している。
注(2) 一般社団法人グリーンファイナンス推進機構は、平成29年度の交付要綱の改正により、同年
度からサブファンドに対する支援決定を行わないこととしている。
強化法
企業等が知識や技術をは じめとする 経営資源の自前主義にとらわ れる ことなく、従来の組織や産業といった枠を超えて経営資源を有 効に活用する ことにより、社会の課題に対応して付加価値を創造し ていくオープンイノベーションを促進する ため、特定事業活動に対し て、出資を主とする 資金供給等の支援を行うこと
平成37年3月31日 (30年3月31日までの間に設 置根拠法を見直し) 株式会社地域経済活性化
支援機構法
雇用機会の確保に配慮しつつ、地域における 総合的な経済力の向 上を通じて地域経済の活性化を図り、併せて地域の信用秩序の基 盤強化に資する ため、地域経済の活性化に資する 事業活動の支援 を行うこと
35年3月31日
(設置根拠法の施行後5年 以内に同法を見直し) 株式会社農林漁業成長産
業化支援機構法
我が国農林漁業が農林漁業者の所得を確保し、及び農山漁村に おいて雇用機会を創出する ことができ る 成長産業となる ようにする た め、農林漁業者が主体となって、国内外における 新たな事業分野を 開拓する 事業活動等に対し資金供給その他の支援を行うこと
45年3月31日
(設置根拠法の施行後3年 を目途として同法を見直し) 民間資金等の活用による 公
共施設等の整備等の促進に 関する 法律
独立採算型等のPFI事業を実施する 者に対し、金融機関が行う金融 及び民間の投資を補完する ための資金の供給を行うこと等により 、 民間インフラ資本市場の整備を促進する とともに、必要な知識及び 情報の提供その他普及に資する 支援を行い、もって我が国におい てPFI事業を推進する こと
40年3月31日
(設置根拠法の施行後3年 ごとに同法を見直し) 株式会社海外需要開拓支
援機構法
我が国の生活文化の特色を生かした魅力ある 商品又は 役務の海外 における 需要の開拓を行う事業活動及び当該事業活動を支援する 事業活動に対し資金供給その他の支援等を行うこと
46年3月31日
(33年3月31日までの間に設 置根拠法を見直し) 株式会社海外交通・都市開
発事業支援機構法
我が国に蓄積された知識、技術及び経験を活用して海外における 交通事業及び都市開発事業を行う者等に対し資金の供給、専門家 の派遣その他の支援を行うこと
定めなし
(設置根拠法の施行後5年 ごとに同法を見直し) 株式会社海外通信・放送・
郵便事業支援機構法
我が国の事業者に蓄積された知識、技術及び経験を活用して海外 において通信・放送・郵便事業を行う者等に対し資金供給その他の 支援を行うこと
48年3月31日
(設置根拠法の施行後5年 を目途として同法を見直し) 競争力強化
ファンド
日本の競争力強化に資する 、新たな価値の創造(イノベーション)や 企業価値向上に向けた取組に対し、リスクマネーの供給を行うこと
定めなし (定めなし) 特定投資業務
地域の特性を生かした事業活動の活性化又は 我が国の企業の競 争力の強化及び事業者が生産性又は 収益性を向上させる ことを目 指して行う事業活動に対する 金融機関等による 資金供給の促進に 寄与する と認められる ものに対して、貸付けその他の資金供給を行 うこと
38年3月31日
(設置根拠法の改正後適当 な時期において特定投資業 務を見直し)
独立行政法人中小企業基 盤整備機構法 強化法
中小企業者その他の事業者の事業活動に必要な出資等の事業を 行い、もって中小企業者その他の事業者の事業活動の活性化のた めの基盤を整備する こと
定めなし
(独法通則法により中期目 標期間の終了時に法人の 業務全般について見直し) 国立研究開発法人科学技
術振興機構法
研究開発システムの改革の 推進等による 研究開発能力 の強化及び研究開発等の 効率的推進等に関する 法律
研究開発の成果の実用化及びこれによる イノベーションの創出を図 る ため、科学技術振興機構の研究開発の成果を事業活動において 活用しようとする 者に対する 出資並びに人的及び技術的援助の業 務を行うこと
定めなし
(独法通則法により中長期 目標期間の終了時に法人 の業務全般について見直 し)
国立大学法人東北大学 国立大学法人東京大学 国立大学法人京都大学 国立大学法人大阪大学 一般社団法人環境不動 産普及促進機構
耐震・環境不 動産形成促進 事業
耐震・環境不動産形成対策 費補助金交付要綱 平成24年度地球温暖化対 策推進事業費国庫補助金 交付要綱
老朽・低未利用不動産の改修、建替え又は 開発を行い、耐震・環 境性能を有する 良質な不動産の形成を促進する ための基金を造成 する ことにより、地域再生・活性化に資する まちづく り及び地球温暖 化対策を推進する こと
定めなし
(交付要綱の施行後10年以 内に事業の内容を見直し) 一般社団法人グ リーン
ファイナ ンス推進機構
地域低炭素投 資促進ファンド 事業
地域低炭素投資促進ファン ド事業費補助金(地域低炭 素化出資事業基金)交付要 綱
地域において地球温暖化対策のための事業を行う者又は 当該事業 者に対し出資を行う投資事業有限責任組合等を出資により 支援す る ことにより、地球温暖化対策のための投資を促進し、二酸化炭素 の排出削減を推進する こと
定めなし
(基金の造成後10年以内に 事業の内容を見直し) 定めなし
(国立大学法人法により 中 期目標期間の終了時に法 人の業務全般について見直 し)
株式会社日本政策投資銀 行法
独立行政法人中小企業基盤整備機構
国立研究開発法人科学技術振興機構
官民イノベー ションプログラ ム
国立大学法人法 強化法
国立大学法人等における 技術に関する 研究成果の活用を促進す る ため、技術に関する 研究成果を事業活動において活用する 者に 対し、当該事業活動に関する 必要な助言、資金供給その他の支援 を行う事業の実施に必要な資金の出資並びに人的及び技術的援 助の業務を行うこと
株式会社農林漁業成長産業化支援機構
株式会社民間資金等活用事業推進機構
株式会社海外需要開拓支援機構 株式会社海外交通・都市開発事業支援 機構
株式会社海外通信・放送・郵便事業支援 機構
株式会社日本政策投資 銀行
官民ファンド運営法人等 設置根拠法等 政策目的
支援の終了時期 ( 見直しの時期及び対象)
株式会社産業革新機構
株式会社地域経済活性化支援機構
注(1 )
注(1 )
(イ) 官民ファンドごとの支援スキームの状況
官民ファンド運営法人が支援を行う際の支援スキームには、1(3)イのとおり、
直接支援と間接支援があり、設置根拠法等において、官民ファンドごとに両方の
支援スキームで行うか、いずれか一方の支援スキームで行うかが定められている。
直接支援は、図表1-5のとおり、独立行政法人中小企業基盤整備機構及び一般社
団法人環境不動産普及促進機構を除く12官民ファンドで業務として定められてお
り、うち、出資による支援が12官民ファンドで、また、貸付けによる支援が10官
民ファンドで業務として定められている。
間接支援は、国立研究開発法人科学技術振興機構を除く13官民ファンドで業務
として定められており、サブファンドに対してGP出資又はLP出資を行うこと
ができることとなっている(各官民ファンド運営法人の支援スキームの概念図及
び支援金額等については別表3「ア 支援スキーム」を参照)。
なお、国立大学法人4法人の官民イノベーションプログラムは、4国大ファンド
が対象事業者等に対して支援を行っており、その業務運営はGP出資を行うそれ
図表1-5 官民ファンドごとの支援スキーム等(平成28年度末)
注(1) 官民ファンドとして支援実績がある支援スキーム又は支援の手法に○、支援実績はないが設
置根拠法等において行うことができることとなっている支援スキーム又は支援の手法に△を 付している。また、「-」は設置根拠法等に定めがない支援スキーム又は支援の手法である。
注(2) 官民イノベーションプログラムのうち、直接支援の実績があるのは国立大学法人東北大学、
国立大学法人京都大学及び国立大学法人大阪大学であり、また、間接支援の実績があるのは 国立大学法人東京大学のみである。
注(3) 一般社団法人グリーンファイナンス推進機構は、平成29年度の交付要綱の改正により、同
年度からサブファンドに対する支援決定を行わないこととしている。
(ウ) 支援の実績
a 官民ファンド運営法人における支援の実績
官民ファンド運営法人は、政府出資等及び民間出資等(以下、両者を合わせ
て「資本金等」という。)を受けて支援を行っている。そして、官民ファンド
運営法人は、支援決定に基づき対象事業者等との契約で支援約束額を設定して、
対象事業者等の事業の進捗等に応じて実支援を行っている。
官民ファンドの資本金等に対する設置日等から28年度末までの実支援額の割
合等は、図表1-6のとおりであり、資本金等が対象事業者等への支援に活用され
ているかについてみたところ、株式会社産業革新機構、株式会社地域経済活性
化支援機構及び株式会社民間資金等活用事業推進機構は、対象事業者等からの
回収額を再び支援に活用したり、政府保証の付された借入金等により資金調達
出資 貸付け
○ ○ ○ ○
○ ○ ○ ○
○ ○ ○ ○
○ ○ ○ △
○ ○ △ ○
○ ○ △ △
○ ○ ○ △
競争力強化フ ァンド ○ ○ ○ ○
特定投資業務 ○ ○ ○ ○
- - - ○
○ ○ -
-国立大学法人東北大学 国立大学法人東京大学 国立大学法人京都大学 国立大学法人大阪大学 一般社団法人環境不動産普 及促進機構
耐震・ 環境不動産形成促進事業 - - - ○
一般社団法人グリーンフ ァイ ナ ンス推進機構
地域低炭素投資促進フ ァンド事業 ○ ○ - ○
1 2 官民フ ァンド 1 2 官民フ ァンド 1 0 官民フ ァンド 1 3 官民フ ァンド 間接支援 株式会社産業革新機構
株式会社海外通信・放送・ 郵便事業支援機構
官民フ ァンド 運営法人等 直接支援
株式会社地域経済活性化支援機構 株式会社農林漁業成長産業化支援機構 株式会社民間資金等活用事業推進機構 株式会社海外需要開拓支援機構 株式会社海外交通・都市開発事業支援機構
△ ○
計
株式会社日本政策投資銀行 独立行政法人中小企業基盤整備機構 国立研究開発法人科学技術振興機構
官民イノベーシ ョンプログラム 注(2) ○ ○
を行ったりなどして既に実支援額が資本金等を上回っていて、同割合が100%を
超えており、また、株式会社日本政策投資銀行の競争力強化ファンドは同割合
が99.1%となっている。これらの官民ファンドでは、資本金等が対象事業者等
への支援に活用されている。
一方、その他の官民ファンドは、設置日等から28年度末までの期間が短いな
どの理由により、おおむね同割合が50%以下になっている。
そして、資本金等に対する実支援額の割合を、資本金等に対する支援約束額
の割合と、支援約束額に対する実支援額の割合(以下「支援実行率」とい
う。)に分解してみると、支援約束が進んでおらず資本金等に対する支援約束
額の割合が低い官民ファンド運営法人や、支援約束は進んでいるが実支援が進